賢く生きる為に読むべき1冊の本「Think smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法」

think smart 賢く思考しよう

Think clearlyに続いてThink smartが刊行される

以前Think clearlyという本をこのブログで紹介した。今回は同じ作者、ロルフ・ドベリの別の本、Think smartについて取り上げてみようと思う。
「Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法 」は2020年の1月に翻訳が出たばかりの本だ。


オレはてっきりThink clearlyの続編だと思って買ったのだが、そうではなかった。原書ではこちらのThink smartの方が先に出版されている。Think clearlyに比べると、内容の完成度は低く思えるし、読んでいてそれほどインパクトはない。やはり後に書いたもののほうが、より深く洞察できるということなのだろう。

とはいえ、このThink smartも決してなまくらな本ではない。書かれていることは非常に示唆に富んでいる。生きているうちに知らず知らずのうちに抱え込んだものの考え方が、いかに私達の人生の充実を妨げているかという事を、鋭く指摘している。

どうすれば成功するかなんか分からないが、どうしたら失敗を避けられるかは指摘出来る

神がなんであるかは言いあらわせないが、何が神ではないかははっきりと言える

神学での神の定義

これは有名な神学の神の定義だという。これと同じことを、成功や、幸せについても言うことができる。

どうすれば人は成功するのか? どうしたら私達は幸せになれるのか? 誰もが抱えるこうした疑問に対して、著者ははっきりと指摘する。「そんなものはない」と。

その代わり「何が私達の成功を妨げるものなのか、何が幸せをぶちこわしてしまうのか」は、はっきりと指摘出来る。こうすれば成功するなんて、そんな都合の良いものの考え方など無い。だけども成功や幸せを阻むものを排除すれば、私達の望むものにより近づけることは明らかなのだ。

先の神学の言葉をビジネスに当てはめるなら、

「私たちは、ビジネスにおける難問の解決法を学んだ訳ではない。学んだのは、難問は避けたほうがいいということだ」

ウォーレン・バフェット


と言うことになる。なんだ、簡単なことじゃないか!

また古代の哲学者もこう言っている。

「賢人が目ざすべきは、幸福を手に入れることではなく、不幸を避けることだ」

アリストテレス

成功を阻害するものを排除する

多くの人は間違った考えに従って、間違った行動を行っている訳だ。成功の原理なんて実に簡単なことなんだ。成功も幸福も、それを目指すのではなく、それらを阻害するものこそ排除すれば良いんだ。これなら簡単に実行出来るじゃないか。

そうした私達の望むものを遠ざける52の考え方を、この本は指摘している。私達が第一に心がけるべきことは、成功を妨げるものを排除する事。日々の判断で、間違った考え方を排除すれば、よりよく生きることができる。より賢く人生を送ることができる。それがこの本の主題だ。著者はその一点に絞ってこの本を書いている。まさに賢く生きるという目的のために書かれた本だ。

この本は、まだまだまだ迷いの最中にいる50代はもとより(オレのようにね)、これから社会に出ようという10代、20代の若者ならより有益に、将来どう生きるべきか、賢く生きるにはどうしたら良いのか(愚かに生きないようにすれば、賢く生きることにつながる)、年代を問わず良き人生を送るための指針に満ちている。

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珠玉の52章の言葉

think smart
人間と違い犬は実践的 カーシャはもともと賢いのだ

この本の中では、52もの様々な間違ったものの考え方の例を取り上げている。無駄に時間を浪費するボランティアをするぐらいならお金を寄付をすべきだ(リングプルを集めるぐらいなら、その分100円でも寄付したほうが、莫大な効果がある。分かっているかい? たった100円がどれほど膨大なリングプルの量になるかを!)。TVや新聞なんか読むものじゃない等々、幅広く題材を取りあげている。

中でも私が特に気に入っているのが、13章の「地元のサッカーチームを応援したくなるわけ」だ。ここでは仲間意識についての考えの間違いを指摘している。仲間意識を持つことが間違いだと言われると憤慨する人もいるだろう。だが、仲間意識というものは「集団への同化」という恐ろしい面を持っている。集団への同化とは、すなわち自由を捨て、誰かの奴隷になる道だ。

ファイターズが好きだと云うだけで意気投合する人もいるだろう。たかがそれだけのことで、全てが許されるような妙な仲間意識がその時に形成される。それがそんなクソスポーツ程度のことなら問題がないが、その仲間意識とやらが「祖国」となるとどうだろう? 

祖国となった瞬間に、遠い外国に派遣されている兵士を家族のように思わせる。遠くにいる兵士は家族なんだ、というわけだ。だがこうした集団とあなたを一体化させ、高揚させるものの考え方は、あなたの思考を歪ませるものだということに気がついているだろうか?

ここでその部分を引用してみよう

「あなたが戦線に送られるようなことがあったら、脱走しよう。戦いで誰かのために身を投げ出すのは勇敢な行為でもなんでもない。単に愚かなだけだ」

ロルフ・ドベリ


と著者は主張する。「祖国」は家族なんかじゃない。誰かがあなたを利用するためのスキームなんだ。

去年よく耳にした言葉にワン・チームというふざけた流行り言葉がある。オレはその言葉を聞くたびに、吐き気をもよおしたよ。あなたはそのワン・チームとやらで外国に送られ、憎んでもいない相手と殺し合いをしたいですか? この言葉に潜んでいる恐ろしい意図を、この言葉を好んで使用する人は気がついていない。

ワン・チーム。ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン(学校でよく使われる標語だね。学校は隠れた軍事教練組織だからあたりまえ)。地球は一家、人類皆兄弟。八紘一宇。言い方は違えども、どれもこれも言っていることは同じじゃないか!  

これは実践の書 読むだけで満足してはダメだ

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オレが変な解釈を書いたものだから、読む気が失せたとしたらごめんなさいだ。だが上記以外にも、とても示唆に富んだ文章が収められている。全部ではないが、見出しをちょっとあげてみる。

・新年の抱負が達成できないわけ【先延ばし】
・「理由」がないといらいらしてしまうわけ【カチッサー効果】
・比較しすぎると、いい決断ができなくなってしまうわけ【決断疲れ】
・「自分は大丈夫」と錯覚してしまうわけ【注意の錯覚】
・自分でつくった料理のほうがおいしく感じるわけ【NIH症候群】
・第一印象が当てにならないわけ【初頭効果と親近効果】
・現状維持を選んでしまうわけ【デフォルト効果】
・自分より優秀な人を採用したほうがいいわけ【社会的比較バイアス】
・地元のサッカーチームを応援したくなるわけ【内集団・外集団バイアス】
・予定を詰め込みすぎてしまうわけ【計画錯誤】
・計画を立てると心が安定するわけ【ゼイガルニク効果】
・反射的に思いついた答えは疑ったほうがいいわけ【認知反射】
・あなたが自分の感情の操り人形なわけ【感情ヒューリスティック】
・数字は机上で改善できてしまうわけ【ウィル・ロジャース効果】
・小さな店舗が突出して見えるわけ【少数の法則】
・「拾ったお金」と「貯めたお金」で扱い方が変わるわけ【ハウスマネー効果】
・統計の数字よりも、小説のほうが心を動かすわけ【心の理論】
・私たちが「新しいもの」を手に入れようとするわけ【最新性愛症】
・目立つものが重要なものだと思ってしまうわけ【突出効果】
・占いが当たっていると感じるわけ【フォアラー効果】
・下手に何か言うくらいなら、何も言わないほうがいいわけ【無駄話をする傾向】
・成功の決定的な要因が「運」であるわけ【スキルの錯覚】
・敵には情報を与えたほうがいいわけ【情報バイアス】
・ニュースを読むのをやめたほうがいいわけ【ニュースの錯覚】等々

52の章を読み進めて、最後の最後に著者から送られる、もっとも重要なメッセージが記述されている。

「私たちは、泳ぎに関する本を参考にしながら泳ぎ方を身につけたわけではない。」

ロルフ・ドベリ

「重要な知識は実践を通して得られるもの。書かれた文字に畏敬の念をいだくのはやめた方がいい」

ロルフ・ドベリ

そう、この本は実践の書でもあるのだ。あなたを幸せや成功から遠ざける思考を捨てて、これらのことを日々実践しよう。思うだけじゃ、成功も、幸せもやって来ない。
これがこの本の本当の主題なんだ。

併せてThink clearlyもどうぞ。


ここまで読んで頂きありがとうございました。記事をシェアしていただけたら有難いです。 東倉カララ

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