唯一自分のモノと云えるのは心だけ「ストア派哲学」 現代に生きる2000年前の教え
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唯一自分のモノと云えるのは心だけという哲学
「自分の体と云うのは、自分でありながら自分のモノじゃない。」こんな事を言うと、「また何を訳のの分からないことを言っているんだ?」と言われそうだ。
だけども一寸考えて見てくれ。風呂で頭を洗った後に、毛髪がずいぶん抜けていたとする。そんな抜け落ちた毛髪を見て、日々薄くなっていく自分の頭髪に不安を感じる。自分の体が自分のモノというなら、自分の意思で髪の毛が抜けないようにしたらいいじゃないか。
自分の体だと云うのに、頭痛を起したらもう寝るしかどうしょうもない。頭が痛くなったら、「よし痛くなくなれ―」と念じて、その痛みを無くすことが出来たらオレの人生ばら色だ。自分の体だと言うのに、何一つ自分じゃコントロール出来ないんだ。それでも自分の体が自分のモノだと云うのなら、自分の思い通りにコントロールしてみたら良いと思う。せいぜい出来るのは食欲や性欲を抑えるぐらいだろう(それすらもたいがいの人は抑えられない)。それ以外は自分じゃ何もできないことに気がつくはずだ。
そんな事に気がついたのは、オレが酷い顎関節症になった事が切っ掛けだ。なんで自分の体なのに、なにも自分の思い通りにならないんだろう? と。自分の体だと思っているこの物体は、実は自分のモノなんかじゃないんだ。自分じゃない何かがこの体をコントロールしている。自分はただこの入れ物を借りているだけの話しだ。
「愚か者は、自分の子ども、自分の財産のことを思って、悩み苦しむ。
ゴータマ・ブッダ:ダンマパダ(今枝 由郎さん訳)
そもそも、自分自身が自分のものではないのに
子どもや財産が、どうして自分のものだろうか。」
これは原始仏典として知られている、ダンマパダに納められているゴータマ・ブッダのお言葉だ。ブッダですら、自分の体は自分のものじゃないと2500年も昔に看破している。いったい人間はこの2500年何やってきたんだろうね。2500年かけて知的に進歩するどころか、退化してしまっている。衰退してしまっている。未来を覗いた文化人類学者によると、5000年後には旧石器時代同様の生活をしていると言う。めでたい話だ。こんな文明は続くに値しない。
ただ一つだけ自分のモノと言えるもの
人間は何一つ自分のモノなんか持たない。ただ一つだけの例外を除いて。人間がただ一つだけ自分のモノと言えるものは、「心」だけだ。心だけは自分のモノなんだ。心だけは自分でコントロールする事が出来る。
だけども多くの人は、その心すら誰かに売り渡している。
一時の感情に任せて物事を行っていないか? 何かをする時に、その怒りは本当に必要な事なのか? ただ冷静にすべき事を実行すればいいじゃないか。ところが自分でコントロール出来るただ一つのモノが心だと言うのに、感情に振り回されて、その心すら自由にならない人間が多い。オレだって充分にコントロール出来てやしない。
更に悪い事にこの世の中って奴は、雑音に満ちていて常に心の判断を過たせるよう、誤判断させるよう、誘導させようとしている。やれクリスマスだ、お歳暮だ、大晦日だ、バレンタインだ。それらは全て自分で本当にやりたいことなのか? 誰かにそそのかされて、しなきゃならないって思っているんじゃないのか? そんな世間様に従っている時に、あなたは自分の心をちゃんとコントロール出来ているって言えるのか?
日々のニューズを見ていても同じだ。その憤り、確かに理由があるかも知れない。馬鹿馬鹿しい政府の振る舞い、指導的立場の人間の愚かな行為。だけどもそれらに対して怒り、憎しみむ事で何が変わる? いまいろいろな環境問題が噴出しているが、ヒステリックに喚きたてる事に何の意味がある? 次から次へと環境少女だのインチキアジテーターが現われ、「自分は意識が高いと勘違いしている」脳無しが賛同の声を上げる。そこには国民の感情をヒステリックに掻き立て、本当の問題から目をそらすと言う為政者の隠された意図がちらりと透けて見える。
自分の心まで他人に操られている人間には、そんな事が分からず、ただマスコミに振り回されて、一緒にヒステリックに叫び続けるだけなのだ! もしヒステリックに叫べば叫ぶほど環境問題が容易に解決するなら幾らでもヒステリックに叫べばいいと思う。だがどんなにヒステリックに叫んだって、解決なんか不可能だ。あれは人々の心を失わせる為政者の手段だから。
実践的哲学、ストア学派
「唯一自分のモノと云えるのは心だけ」、というのは実は2000年の昔の哲学者達の思想・ストア学派の考えだ。不思議とブッダの教えとかぶる部分の多いこのストア学派の哲学。この混迷の21世紀の日々をより良く生きる為に必要な智慧に満ちあふれている。まずはこの入門書を読む事を勧めるよ。自分の心のコントロールを取り戻す為にも。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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