私のヒミツ 私は飛ぶことが出来る
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i can fly
今まで妻以外には話したことのない、私のヒミツをここに公開しようと思う。
実は私は空を飛べる。最初はただ宙に浮かんだだけだった。それは確か7歳頃の事だと思う。夜中に何か妙な雰囲気を感じて目を覚ました。目を開けると、目の前に天井が見えているではないか! 何だこれは? と体を横に傾けると、何と布団ごと私は宙に浮いているではないか! 大変だ〜! 落ちちゃうよ〜どうしよう! と最初は不安に駆られ、落ちないようにと布団の上で身を固くしていた。
ところが落ちるどころか、安定して微動だすることもなく宙に浮いている。「どうしたら良いんだ? 床に降りたいんだけど」と心の中で思った。すると何事もなかったかのように、布団はそのまま垂直にゆっくりと下降して行った。音もなく静かに床に着地する。正確にいつもの位置に布団は着地した。横を向くと母や弟が、私の身に起こったことなど何も知らずに、すやすやと寝息を立てていた。
そして初めて心臓がドキドキとしていたことに気がついた。この事は母にも弟にも内緒にしておこうと思った。
それが始まりだった。
2度目は空中散歩
それから数年後、また私は宙に浮くことになった。私はもう中学生になっていた。
今度は家の近所の野原(その頃の斜里町は住宅街に隣接して野原が沢山あったのだ)を散歩していた時のことだ。なんだか体がふわふわとした変な感触を感じた。その時何故か「浮け」と心に念じてしまった。するとふんわりと、ゆっくりと足が地面から離れて行った。
宙に浮くことに何も恐怖は感じなかった。「もっと浮け」と心に念じる。するとゆっくりとだが確実に体が上昇して行く。どんどんと私の体は高度をあげて行く。5m、10m、そして20m程だろうか、私の体はどんどんと空に向かって上昇して行く。それぐらいの高さになると民家の屋根よりも高い。野原の隣にあった赤い民家の屋根が足下に見える。
私は空に浮かんでしまった。立ったままの姿勢で、揺れることなくただ宙に浮いている。落ちるんじゃないか? と恐怖感も湧いてくるものの、私の体は揺らぐこともない。しっかりと起立したまま宙に浮いている。
そのまま「前に進め」と念じると、ゆっくりと私の体は進み始めた。まるで空中を散歩するように。私の体は赤い三角屋根の家を越え街に向かって進む。風も感じない。とても心地よい。宙を歩くのはこんなにも心地よいものとは思わなかった。
するとゆっくりと体が下降し始めた。まるで見えないエレベータにでも乗っているかのごとく、垂直に地面に降りていった。この間約10分間ほど。宙を歩いている私の姿は、誰にも見られることが無かった。
私は空を飛ぶ 立ったままの姿勢で
それからだ、頻繁に空を飛ぶようになったのは。何度も空中散歩を繰り返すうちに、空の歩き方のコツをつかんで行った。どうやらこれは超能力の一種のようだ。念じれば宙に浮き、そして空を飛ぶことも出来るのだ。
空中飛行で大事な事が1つだけあった。体が浮き始めたら、空を浮かんでいることに意識を集中することだ。「浮け、浮け」と念じていなければ、せっかく宙に浮いているのにだんだんと高度化下がってしまう。なので宙に浮き始めたら、余計なことは考えずに、浮くことに神経を集中されなければならない。これはかなりの精神集中を必要とする。
だけども精神集中を切らしたからといって、急速に落下することだけはない。何か未知の安全装置のようなものが働いているのだろう。
精神集中が続く限り、私はどんな高度にも浮き上がることが出来る。といってまだ成層圏を脱したことはないのだが。
そしていくら精神集中をしても、スピードだけは上がらなかった。幻魔大戦の東丈やマトリックスのネオの様に頭を先にして、まるでスーパーマンのように高速で空を飛ぶなんてことは出来ない。私の場合はあくまでも 立ったまま、なんだかふらふらと空を飛ぶのだ。なのでちっともかっこよくない。
そして今晩も私は空を飛ぶだろう
初めて宙に浮いてから今年で50年もの月日が経ってしまった。長年斜里の上空を歩き続けてきたのだが、これまで誰にも私の姿を目撃されたことはなかった。まあ地上を歩いていても、殆ど人とすれ違うことのないゴーストタウンのようなひとけの無い町だからしょうがない。
なので別にヒミツにしていたわけではないが、別にひとに言うべきことでもないからこれまでこのことは黙っていた。唯一の例外は私の妻だ。妻にだけは、私が空を飛べることを伝えていた。
今回こうして世間の皆さんにブログ記事という形で、私のヒミツを公表することにした。今夜もまた私は空を翔る、、、、事は無いが空をふわふわと散歩するだろう。
そう、夢の中の私は空を飛ぶことが出来るのだ。See you next flight!