犬の努めを果たして虹の橋を渡っていったラブラドール犬・カララ 8年目の9月6日

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ラブラドール犬のカララ 斜里岳とカララ

カララが虹の橋を渡って今日で8年目

今年も9月6日が来てしまった。この日はカララの命日。カララが亡くなって今日で8年が過ぎた。

カララは茨城のブリーダーさんから購入したラブラドール犬で、父犬はアメリカンチャンピオン犬、母親は成田空港初の麻薬探査犬という事だった。本当かは判らないが、母犬はバッキンガム宮殿で飼われている犬の血筋なんだそうだ。

そんな優秀な血筋を引いているせいか、カララはとても器量の良い犬だった。体はがっしりとして肉付きが良く、そして頭もとても賢く、いやずる賢いといって言った方が良いだろう。顔つきもとてもラブラドール犬らしい良い顔つきの美人さんだった。

見た目は素晴らしく良い犬だったが、とにかくいたずら好きで、好奇心が異常に強くて、カララには何でも壊された。怒れば一瞬しゅんとするのだが、許せば怒られた事なんか瞬時に忘れて大ハッスルする、といった超お調子犬でもあった。

そしてこうと決めたら頑として貫き通す頑固な一面も持っていた。亡き母親はよく「この頑固犬」とカララの事を罵っていたのが思い出される。

カララ最初の発作

ラブラドール犬のカララと海で遊ぶ
2012年7月28日 カララが最後に海に遊びに行った時の写真 このあと発作を起す


そんなカララに異変が生じたのは亡くなる前年、2012年7月28日の事だった。

カララは泳ぎが大好きで、夏になるとよく海に連れていった。この日はとても暑い日で、午後カララを海に連れて行くと、とても喜んで海に入っていった。

ところがその時は様子が違った。いつもなら海の深いところまでどんどんと泳いで行くのが、その日に限って波打ち際でチャプチャプと戯れるだけなのだ。オレはカララを沖の方で泳がせようと、ペットボトルを沖に向けて放り投げる。ところがカララは取りにに行こうとしない。

そんなカララを変だなと思っていると、突然ばたっと波打ち際に倒れ込んでしまった。カララは息苦しそうに、ヒュー、ヒューと変な息をしていた。これがカララの最初の発作だった。幸いその時は、すぐに呼吸も元通りになった。オレはカララを抱えてすぐに帰宅した。

念のため動物病院で診察を受けたものの、これといった異常は見つからなかった。オレとしても検査漬けでカララを苦しませたくないので、それ以上は原因を追求しない事にした。

それからの1年間、カララは発作を再び起す事はなく、無事に過ぎていった。

そして2013年9月6日がやってきた。

ラブラドール犬のカララ 最後の写真 車内にて
カララ最後の姿 亡くなる2週間前に撮影 このころには既に精気が無くなっていたのがオレには分かる

早暁の発作

ラブラドール犬のカララ 写真撮影会
カララはじいちゃんの良き撮影モデルだった これは亡くなった年の5月


まだ薄暗い朝の4時。カララの苦しげな息遣いでオレは目を覚ました。2012年夏の発作と同じ呼吸だった。カララは頭を上にあげ、フハー、フハーと苦しげな息をしている。まるで空気が薄くて、少しでも酸素を吸おうとしているような息の仕方だった。妻も同時に起きた。カララのノドや背中をマッサージしてあげると、程なくその変な呼吸は収まった。念のためノド用のレメディーをカララに飲ませた。

この時かなりドキッとしたものの、カララの溶体が収まったので少しホッとした。だけども、この時のカララの顔が目に焼き付いて忘れられない。いつものカララの顔と違い、その時の彼女の顔は細く、そしてとてもかよわく見えたのだ。そしてカララの体が少し透けて見えた気がした。なんだかカララが透明に見えたのだ。

朝6時過ぎに再び目を覚ます。カララはいつも通りに元気に起き出した。お隣の実父の家にカララと行く。我が家と実家の間の通路をいつものように駆け下るカララ。ところが、後ろ左足を内側に滑らせてこけそうになった。晩年のカララは、そうやって、足を滑らせる事が多くなった。その後いつも通りに朝の散歩に出掛けるが、発作を起した事もあり、せいぜい500m程歩く程度に留めてみた。

亡くなる前に家族全員と散歩をしたカララ

ラブラドール犬のカララ じいちゃんの足の間で寝る
カララは何故か人の足の間で寝るのが好きだった

朝の散歩がたりなかったせいだろうか、妻が午前中にヨガをしていると、カララがしきりと邪魔をしてくる。仕方がないので、妻はカララを短い散歩に連れていった。それが妻とカララの最後の散歩になってしまった。

普段はは会社で弁当を食べていたオレだったが、その日の昼は帰宅して家で弁当を食べた。カララに会いたかったのだ。カララの様子は、いつもの変わらなかったが、なんとなく元気がたりない気がした。

カララはその日、散歩に出掛ける以外は、殆どの時間を寝ていたという。そして夕方になり、妻はカララを連れてお隣の実家に行った。その頃は母が亡くなったばかりだったので、父親と一緒に毎日夕食を食べていたのだ。

父の家に行くとカララは、いつものように散歩に行こうと父を誘う。早朝の事があるので、短い散歩をお願いした。散歩に行きたがったくせに、その時のカララは、とても疲れた足取りで、息も荒く休み休み散歩をしたという。

そんなカララの様子を見て、父はもっと短い散歩にしようとしたが、カララはまだ歩くと言い張る。カララは頑固犬なのだ。しょうがないので父は何度も休みをいれながら、体を撫でたり労りながら結構な距離を歩いたという。

カララは玄関でオレの帰りを待つ

ラブラドール犬のカララ ふかふかの布団の上で寝るのが好き
カララは寝心地の良い場所を見つける天才

父との散歩の後、カララは疲れてソファーにぐったりとしていた。そんな時に来客があった。客は玄関のベルを鳴らす。するといつもの様に「グワン、グワン」と吠えて立ち上がったカララだった。そこまでだった。カララに再び発作が襲った。息ができなくなり、カララは床に倒れ込んだ。

妻は一生懸命にノドや体をマッサージしてあげた。だが、その時に限って、その発作は終る事が無かった。ハフー、ハフーとカララは苦しげな息を続ける。苦しそうな顔で、助けを求めるような顔で、カララは所在なげに家の中をあちこち歩き回る。すると歩きながら、ぽろぽろとうんこを漏らした。

妻はオレに電話をし、カララが発作を起した事を伝える。カララは辛そうにゼーゼーと息をしながら、それでも玄関にたどり着いて、そこで身を横たえた。もうすぐオレが帰ってくる時間なのだ。いつもどおりに、玄関でオレを迎えねばらならないのだ。それがカララの仕事なのだ。

ぐたりと横たわったカララに、妻は「ボスがもうすぐ帰ってくるよ」と励ましの声を掛けた。「ボス」と言う言葉を聞いたカララは、ハッとして頭をもたげガラス戸の向こうを見渡す。そしてピクンと体を震わした後に、急にぐったりとして動かなくなった。

オレが実家に到着したのは、ちょうどそんな時だった。父親宅の玄関をくぐると、そこには息荒く横たわるカララがいた。

「カララ、帰ってきたよ」

呼びかけてももう何の反応も返ってこなかった。何も見ない目で、ただ苦しそうに息をしているだけのカララが、そこに横たわっていた。カララの顔をのぞき込むと、瞳孔は既に開き切っていた。その目には何の感情も見る事がなかった。だらりと血の気がなく真っ白な舌が口からはみ出していた。

こんな状態でもカララはまだ生きていた。とにかく獣医に連れて行く事に決めた。カララを抱いて車の後部座席にのせた。運転は妻に任せて、オレはずっと、カララの喉や体を撫でてあげる。

カララを乗せた車は網走に向かう。最初荒く息をしていたカララの息は、だんだんと間隔が長くなっていった。開きっ放しだった目は乾き始めた。オレはカララの目の端に、乾いてしわが寄っているのを観た。これ以上カララの目が乾かないように、オレは目をそおっと閉じてあげる。そして心臓の音はとても不規則になっていた。

斜里を出て10分ほど過ぎた頃だった。カララからおならの様な、臭い匂いが漂ってきた。しっぽをあげて肛門を見ると、粘液状の便が出ていた。カララはもう呼吸をする事が無くなっていた。心臓の音も聞こえなくなった。時計は17時30分を回っていた。

「もうだめだ」

とオレは呟き、妻に車を道路の端に寄せて止めてもらうよう指示する。妻と二人でカララの亡骸を抱きしめ、泣くしか出来る事はなかった。

自分の務めを果たして虹の橋を渡ったカララ

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ラブラドール犬のカララのお墓
カララのお墓 毎年命日にはこうして花をお供えする 大好きなカボチャの花は必須


その日のカララは弱っているのにも関わらず、朝はオレと散歩した。午前中は妻とさらに散歩した。午後はじいちゃんと散歩に出掛けた。これが最後の散歩になると分かって、全員と何が何でも散歩をしようとしたように思えた。

朝食はいつも通り食べた、お昼もいつもと同じ量を食べた。そしてあともう少しで夕食という時間になって、カララは発作を起して倒れてしまった。カララは亡くなるその日を、いつも通りに散歩をして、ご飯を食べて、昼寝をして、虹の橋を渡っていった。夕ご飯を食べそこねたのが、たった一つの後悔だろうと思う。

いつもの様に玄関でオレを待とうとしてくれたカララ。カーシャもいつも通りに、玄関でオレを待とうとして息絶えてしまった。

翌日の朝、普段通りにカララにシッコをさせる必要がないという事に、オレはとても違和感を感じた。今日からもう朝晩散歩にも行かなくていいんだ。毎日の日課が減ったというのに、オレにとってその事は楽になったのではなく苦痛に感じた。

いつも通りというのは、実はとても大切な事なんだ。単調であれ何であれ、いつもと同じ事を繰り返す。いつも通りというのは、実はそれは特別な事なんだ、と2匹の犬がオレに教えてくれた。

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