2028年までにAMラジオが廃止だって! ラジオ、BCLにまつわる思い出
Table of Contents
AMラジオ、2028年までにFM局に転換!
2028年の秋までに、北海道などを除いて、全国でAMラジオがFMラジオに転換になると云う。もう今の時代、AMラジオは時代遅れのメディアになってしまったのかも知れない。音質も悪いし、ステレオでもないし。以前ほどラジオを聞く人が減った事も、FM転換への後押しになったんだろうと思う。
リンク:AMラジオ、44局がFM転換へ 28年秋まで、北海道など見送り
AMラジオが廃止になるというのは、何だかとても寂しい事だと思う。確かに今のオレは子供の頃のようにラジオなんか聴いていない。いまはせいぜい通勤時間に聞く、20分程度が、1日の合計聴取時間だ。子供の頃は深夜放送の面白さにとりつかれて、毎日数時間は普通に聞いていたのに。
夜になると東京のラジオ番組が聞こえてくるAMラジオ
知床の様な日本の東端、僻地では、日中は広大なAMラジオバンドに地元局しか聞くことが出来ない。ところが日が落ちると、東京のニッポン放送等数多くの遠くの局が聞こえてくるのだ。
欽ドンやオールナイトニッポンの様な番組は、ローカル局でも中継してくれていた。だがニッポン放送を直接聞けば、同じ番組が地元局よりも早い時間に聞く事が出来たり、それ以外の面白い番組も聞けるのだ。なので秋から冬の、夜が長い時期はラジオ好きにとっては、待ち遠しい季節だった。
浪人時代が1番ラジオを聴いていた
浪人時代は1番ラジオを聴いていた時かもしれない。自宅で浪人していたので、文化放送の大学受験ラジオ講座はオレの予備校だった。授業料はテキスト代だけだったので、おかげでえらく安くすんだよ。
そしてその当時斉藤由貴さんは土曜日の午後5時から「ネコの手も借りたい」という番組をニッポン放送で持っていた。1996年の春から始まった番組だったのだが、地元局では中継してくれなかった。なのでニッポン放送で聞くしかないが、夕方5時なんて明るい時間帯では、ここ知床じゃ聞く事が出来ない。
夏が過ぎ、9月に入る頃になって、ようやく番組の最後の方だけ聞けるようになっていった。日がどんどん短くなり、毎週毎週聞ける時間が長くなって行くのが楽しかった記憶がある。 ←そんなことより、勉強しろよ
そんな事でラジオ好きが高じて、オレは子供の頃BCL(ブロードキャスト・リスナー。日本語だとラジオ聴取愛好者)を趣味にしていたのだ。ただラジオを聴くだけじゃなく、より遠くの局を受信してやろうと、あれこれ工夫を凝らしていた。
といってあこがれのBCLラジオなんか、小学生や中学生じゃ買えないので、ごく普通のラジカセにAM専用のアンテナを自作して取り付けていた。
その当時ラジオの製作という雑誌があって、この雑誌が特に役に立ったよ。
日曜日の深夜はラジオは停波する
これはもう40年近い昔の話。今はどうしているのだろう? 日曜日の深夜というか月曜日に入ると、AM1時ぐらいにはAMラジオは放送が終了する。するとそれまで地元局と混信するために聞こえていなかった、遠方の局が聞こえてくるのだ。
こんな日本の東の外れながら、名古屋や大阪それどころか中国地方や九州など、遠くの放送局の番組が微かに聞こえてくるのだ。オレがそんな絶好のチャーンスを逃す手は無い。周波数表を片手に、全神経を耳に集中して、微かに聞こえる放送を探し回っていた。
そんな日曜日の深夜放送の1番のお気に入りだったのは、、ラジオ大阪の「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」だった。日本の東の外れでも、なんとかラジオ大阪が聞けたのだ。混信の少ない静かな日曜の深夜に、鶴瓶と新野新さんのぼそぼそ話す会話がラジオから流れてくる。この番組以外、日本語の放送はほとんど聞こえてこなかった記憶がある。
夏のFMにはEスポという楽しみがあった
暑い夏の日中に、スポラディックE層(通称Eスポ)という電離層が発生することがある。そんな日にFMラジオを聴いていると、今まで聞いたことのない遠方の局が受信することがある。
北海道の東端だというのに、福岡のFM福岡を受信したことは何度もある。きっと絶妙な位置にEスポが出来て、そんな遠方の電波をこちらまで届けたのだ。電波は面白い。これから全国の放送局がFMラジオばかりになると、今度は夏のEスポを狙うと面白いと思う。
Eスポが反射するのはもちろんFMの電波だけじゃない。隣接するアナログ時代のTVの1〜3チャンネルの電波も反射する。なので夏になるとここ知床では、1〜3チャンネルが混信して、写りが悪くなることがよくあった。
EスポのせいでTVの写りが悪くなった時に、周波数の微調整ダイヤルをいじると、その混信元の番組を見られることがある。たいがいは韓国のKBSだった。たまに中国語のFM放送が入ることもあった。洋楽が流れていたから、台湾、もしくは香港の放送なのかも知れない。これは古き良きアナログ時代の話だ。
2028年にはFM帯も多くの放送局が参入して、少しは賑やかになるのかもしれない。でもほんの少しだろう。海外に旅行したさいに、現地のFMラジオを聴くととても賑やかで驚いた経験がある。ニュージーランド、マレーシア、どちらもFM帯の端から端まで放送局であふれていた。きっとミニ放送局開局の敷居が低いんだろうと思う。日本は規制だらけだ。ほんと何でも官による統制の強い、自由の無い国だ、この国は。
ベリカード 受信証明証
最後にベリカード(Verification Card 日本語にすると受信確認証)について話しておこうと思う。
BCLの楽しみは、ラジオを聴く事は勿論だけれども、その聞いた番組に対して一定の様式に添ってレポートを提出すると、ベリカードと云うものが送られてくる。これが各局いろいろデザインが凝っていて、集めるのが楽しかった。
その中でも思い出深いのは、浪人時代に青森放送に受信報告書を提出した時の事だった。青森放送からは封書でベリカードが送付されてきた。開封してみると、手紙が同封してあった。そこには担当者の短い文書が書いてあって、「私も浪人して大学に受かりました。がんばってください」というような応援のメッセージが書かれていた。
毎日1人で勉強に励んでいた(というかラジオばかり聴いていた)だけに、このメッセージはジーンと来て、より勉強に熱が入ったものだよ。
残念ながら一生懸命に集めたベリカードは、今は1枚も手元に残っていない。とっておいても何の役にも立たないと、10年ほど前に処分してしまった。何かもったいない事をしてしまった気がする。
2028年に全国でAMラジオが停波になっても、広大な北海道はそのままAM放送が継続されるという。そうなると、AMラジオは北海道に行かないと聴けないメディアになる。そんな地域限定メディアと云うのも、逆にノスタルジアに浸れて良いのかもしれない。
ブログトップの画像は家でごくたまに使用しているラジオ。普通のラジオに見えるが、これはBCLラジオなので、これで長波からFM帯まで幅広く周波数をカバーしている。今は中国製のBCLラジオが安価で高性能なので売れているらしい。
ここまで読んで頂きありがとうございました。記事をシェアしていただけたら有難いです。 東倉カララ