指輪物語 結婚12年目、無くした結婚指輪の帰還
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結婚後半年で指輪を無くしたオレ
オレは結婚する半年前が生涯で一番太っていた時期だった。その一番太っていた時に結婚指輪を作ってしまった為、結婚後まもなく指輪はゆるゆるになってしまった。その年の冬、気がついたら指輪を何処かに落っことしてしまった。
何処で落としたかも全く思い当たらない。家の中で落としたのか、外で落としたのか? はたまた会社で落としたのか? 全く手がかりはない。念のため指輪が無くなった事に気がついた日の自分の足取りを全てチェックしてみる。季節は冬。雪が降ってしまい、もし外で落としたのなら雪の下に埋もれてしまって発見するのはとても困難だった。
ひょっとしたら、落ちている指輪を犬のカララが飲み込んでしまったなんてこともあり得る。そう彼女は見慣れないものが落ちていればなんでも口に入れ噛み遊び、そのまま食べてしまうと云う事も有るのだ。
犬のウンコの中まで探す
そんな事でそれから2日間。カララがウンコをする度に、その中身を棒でバラバラに分解して、指輪が入っていない事を確認した。万が一って事もあるからね。犬がウンコをする度に、注意深く木の枝で分解する。何とも切ない行動だ。
結局指輪は見つからず、オレは諦めた。結婚半年で結婚指輪を無くしてしまったのだ、オレは。
ところがそれから数週間後、お隣りの若奥様が我が家に遊びに来た。その時彼女は玄関前に、何か銀色に光るものが氣になった。拾ってみると指輪だった。彼女はその指輪を持って我が家にやって来る。
「これ結婚指輪やと思うんやけど〜。落ちとったわー」。
そうやって、犬のウンコの中まで探したと云うのに、見つからなかったオレの結婚指輪はあっさりと見つかった。しかも我が家の玄関前で。
今度は女房が指輪を無くす
つい先月の事。女房の顔色が冴えない。溜息をついている。「どうしたの?」と聞くと、なんと「結婚指輪を無くしてしまった」というではないか。この3日間くらい、家の中はもちろん、散歩で歩いた道まで辿ってみたのだが見つからないと言う。
しかも、何処で落としたのかまるで見当もつかない。除雪作業時に落とした? アルバイト先の職場で、仕事前に外した時に無くしてしまった? 散歩中に落としてしまった?
だけども、何処で落としたのかちっとも思い当たる節が無いと云う。オレも家の周り、女房が散歩で歩いた道を念のために辿って見たものの、それらしきものを見付ける事は出来なかった。
我が夫婦は結婚時にオレが姓を変えた。なので女房は生まれてからずーっと同じ名前のまま。だから久しぶりに会う同級生なんかに、行かず後家のおばちゃんだと思われてしまう事があるそうだ。名前も子どもの時のまま、指輪もしていないとなれば、なおさらそう思われてしまうだろう。
遺失物届け
女房には、
「念のため、警察署に遺失物届けを出してみなよ」
と言っておいた。もし歩いていてそんなものを見つけた人がいれば、結婚指輪と分かれば大切なものだと思って拾ってくれるだろう。ひょっとしたら、そんな親切な人が警察署に落とし物として届けてくれるかもしれない。
そして今日、女房はようやっと、警察署に遺失物届を出しに行った。指輪を無くしてからもう2週間になる。その間何度も雪が降ったものの、ここ数日昼間は気温が緩みひょっとしたら解けた雪の中から指輪が出て来たかもしれないじゃないか。
すると女房からメールが届く。ただ一言「じゃーん」と書いて有るメールが。
本文を見ると1枚の写真が添付してあって、指がVサインしている。なんとその指には銀色に輝く結婚指輪が!
女房が警察署に相談に行く。
女房「あの〜、指輪の落とし物が届いていないでしょうか」
警官「ちょっとまってね。指輪はいろいろ届いているから。どんな特徴がありますか」
我が女房は指輪の特徴を警官に伝える。すると警官は奥の別の警官の所に行くと、2人でなにやら相談し始め、小さな袋に入った指輪を出してきた。
先ほどの警官が窓口にもどってきて女房に聞く、
「その指輪には何か刻印とか、特徴がありますか?」
「ええと、指輪の裏に、しゃり君とみっちゃんとローマ字で書いてあります」恥ずかしいと思いながらも、言わざるを得ない。
「ああ、確かにそう書いてある(笑) これに間違い無いですね?」
「これです! 間違いなくこれです!」
なんと親切な人が1週間前に警察署に届けてくれていたと云う。
指輪の帰還
夫婦して結婚指輪を1度は無くしたものの、共に見事に帰ってきた我等が結婚指輪。今年結婚12年目の「絹・麻婚式」を、これで二人とも結婚指輪をしたまま迎える事が出来る。二人とも一度は無くした結婚指輪。だけれども誰かの親切で再び戻ってくる事が出来た。これはいったい何を示唆しているのだろうか?
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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