我が愛犬カーシャの思い出 その1 「パーカーを着る=散歩」
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とうちゃんがパーカーを着た!散歩! 散歩!
暑い時期以外カーシャとの散歩時には、パーカーを着て出かける事が多かった。白地に紺の横縞と、臙脂色の2種類のパーカーが散歩時のユニフォームのようなものだ。カーシャはすぐに覚えた。パーカーを着ると云うことは、散歩に出掛ける事と。
カーシャはいつだって散歩に出掛ける準備ができている。だから朝オレが起きれば、カーシャはぴったりとオレに張り付く。そんな状態だから、のんびりとお茶の一杯も飲むなんて事も出来ない。そしてパーカーに袖を通した瞬間から、カーシャの散歩時間が始まる。くるくるとスピンするのは歓喜のダンス。そしてオレの顔を見て吠え続け、早く!早く!と出発を促す。
そうパーカーに袖を通す事イコール、散歩に出かける事なのだ。カーシャが勝手にそう決めてしまったから、もう変えようがない。オレもパーカーを着れば、散歩に行くものだと半分諦めていた。
寒いのにパーカーが着られない
ところが時どきちょっと困ったことが起きる。部屋の中が少し肌寒い、ストーブを灯すほどでもない、そんな時はパーカーを羽織りたくなる。だけどもパーカーを着るところをカーシャに見られると、散歩と勘違いされる。だから、部屋の隅に隠れて、そーっとパーカーを着る。パーカーを着るところを見られなければ、それほど大騒ぎしないのだ。オレの服だって云うのに、なんで着たい時に好きに着られないのだ。
ところがパーカーを着るところをカーシャに見られしまうと、散歩に行くと勘違いされ、大騒ぎが始まる。困った事だ。
ある時ついうっかりカーシャの眼の前でパーカーを着てしまった。その瞬間からカーシャの目つきが変わった。明らかに興奮しだした目。そしてわんわんと吠え始める。オレは慌てて、「嘘。これは嘘。散歩になんかゆかないよ」とカーシャを説得する。その時は嵐の夜で、そんな気象の時には散歩なんかゆかないのだ。
オレがパーカーを着たのに、散歩に連れてってくれない。その時カーシャはずいぶん長いこと、恨めしげな顔でオレを見るのであった。
今でもパーカーを着るのに変な抵抗がある
今ではもう誰に遠慮すること無く、オレはパーカーを着られる。なのになぜか、袖を通す際に、今でも周りの目線が気になるのだ。カーシャのあの黒い目が、遠くの部屋からレーザービームのようにオレを見張っているんじゃないかと。
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