流氷 知床は特異な気象が見られる場所

知床では海が凍るのは当たり前

今年になってから月1回東京に行っている。内海式根本療法セラピスト養成講座なるものに参加しているのだ。整体師にあきたらず、さらに根本療法も学んでみようと思ってのことだ。


日本の東端で日々生活している者が、東京に出かけると斜里の特異性に嫌でも気付かされる。伝統、習慣もさることながら、やはり気候が大きく異なることに。

特に大きく異なるのは冬の流氷だろう。東京で斜里や知床の話をしていると、ときどき私の話を聞いてくれている人の反応をみていると、大ボラを吹いているんじゃないの? と顔に現れるときがある。それはたいがい冬の話、そして流氷の事だ。

毎年1月の終わりになれば、ここオホーツク地方には流氷がやってくる。そして静かに流れてきた氷は海面一面を埋め尽くし、そこに大氷原を現出させる。広大な海上が氷に覆い尽くされ、誰も住むことのない大氷原が現れる。長年斜里に住んでいる私にしてみれば、毎年冬になるとやってくるごく当たり前の景色なのだが、他の地域に住む者にとってはありえないような光景に思えるのだろう。

これは氷で覆われ尽くされた海です。2024年に撮影

確かに海が凍りつき(いや実際には流れてきた氷が海面上を埋め尽くしているのだが)、静寂たる大氷原を現出させてしまう、というのは見たことがない人にとっては嘘のような、怪現象にも思えるんだろう。人によっては南極のような氷山が流れ着くというイメージを持っている者も居るらしい。

オホーツクの流氷の場合、氷の厚さはせいぜい1から2、3m。浜辺に打ち上げられた流氷を見ればその氷の厚さがわかるというものだ。これを氷山と呼ぶにはちょっと無理があるが、そこそこ厚い氷が海面を覆い尽くしている。

流氷には乗っちゃいけないのだ

昔はそうでもなかったのだが、今はこの流氷を見にかなりの数の観光客がやってくる。知床や網走では、真冬も観光シーズンになってしまった。そんな観光客にしてみれば、海岸に押し寄せた氷に乗りたがるのも無理はないと思う。

が、海は潮が満ち引きする場所。それが流氷が来ているときでも変わらない。そんな流氷に乗って写真を撮っていると、気がつけば潮が満ちて(流氷があるのでそんなことがわからないのだ)海岸に座礁していた氷が浮き上がり、しかもちょっとした風なんか吹いちゃったならばあっという間に流されてしまうことも十分ありえることなのだ。

実際今年になって大学生が流氷に乗っていたら、あれよあれよと沖に流されて救助されるという事故が起きている。その時は100m程度沖合だったが、それでも自力では浜につくこともできずヘリコプターが出動する騒ぎになっていた。流氷の海の海水温は氷点下に近い。泳ぐなんて無理なのだ。たぶん数分で体が動かなくなるだろう。流氷の海は実はとっても怖いのだ。

今から30年以上昔に、やはり大学生が冬の知床海岸の氷の上を歩いて知床半島先端にゆこうと冒険した。日暮れまでに先端たどり着くことができず、流氷の上にテントを貼り寝た。すると翌朝彼らがみたのは、知床半島からはるか沖合に流されてしまった自分たち。下手をしたらロシアまで流されてしまう可能性も無いとは言えない。幸い無線機を持っていて連絡を取り救助されたのだが、彼らにとってはスリル満たんの冒険になったろう。流氷は風で簡単に流れてしまうのだ。

まさに流れる氷、流氷なのだ。

流氷のでき方

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流氷 日の出地区
日の出地区の高原からみた斜里湾

そんな流氷だけども、ごく簡単にどうしてできるのか説明しておこう。

斜里がいくら寒いからと云って、斜里の海岸の海水が凍って流氷を作るんじゃない。流氷は遥か彼方の樺太島の北部から流れてくる。ロシア極東のアムール川の大量の淡水がオホーツク海に流れ込む。

すると淡水は海水より軽いので表面に貯まるのでとても凍りやすくなる。そうして海面上にできた氷が、北風に流されてはるか樺太の北部の方から、どんどんと南下して北海道へ流れてくるのだ。なので元はアムール川の水とも言える。

流氷は、さすが寒い地方ならでは現象と思うだろうけども、実は世界で最も南で見られる海氷がオホーツクの流氷なのだ。北海道をこのままの緯度でヨーロッパに持っていけば、なんと地中海になるという。樺太なんかロンドンぐらいの高さに位置するのだ。なのでヨーロッパで同じように流氷が見られる地域となれば、もっと北の北極圏に近い地域になるだろうね。

そんなんでオホーツクの流氷は、世界的にはもっとも南で見られる海氷現象なのだ。やはり私達は世界でもかなり珍しい気象現象が見られる地域に住んでいるんだなぁと思う。

下の動画は2024年に撮影したもの。3月の下旬でも流氷が見られるのは斜里ならでは。4月になってもまだ流氷が居座る年もあるよ。今年はいつまで流氷が見られるかな。

今年は氷の量は大したことがないのだけれど、まだ流氷観光を楽しめそうだ。今からでも間に合うはず? 流氷は世界的にもとても希少な光景なんだよ。ぜひ知床まで足を運んでもらいたい。

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