紅葉の林を犬は疾駆する 知床2020紅葉
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知床は紅葉真っ盛り
水星逆行なのだそうである。先週はオレが寝込んで、買って2年目のCDプレーヤーが壊れ、電灯のヒモは切れ、読書灯の電灯が切れた。これは!時間退化現象では! と、自分がフィリップ・K・ディックの世界に紛れ込んでしまったんではとちょっとびびる。
そんな時間退化現象のさ中でも、季節はちゃんといつも通りに巡ってくるから、きっとこの世界は正常なんだろう。10月の半ばになると、朝は5度以下まで冷え込む。先週は知床連山が初冠雪した。今朝は霜が降りていた。秋というよりも、初冬の始まりという気がする。
そんな秋真っ盛りの知床なんだが、昨日(10月18日)は朝から快晴で、日中はかなり暖かだった。犬は大喜びで朝オレを起す。今日こそは散歩に連れていってもらおうという、意思が目に満ちあふれている。
というのも先週寝込んで以来、体調がいまいちだったので犬のお散歩1週間お休みしていたのだ(その間親父が犬の散歩を引き受けてくれていた)。朝の9時で気温は15度。歩くにはちょうどいい温度だ。
休日はシャリウッド・ヒルを自由に駆け回る
久しぶりの散歩という事もあり、秋の紅葉を楽しもうと、知床博物館周辺の公園・シャリウッド・ヒル(オレが勝手に命名)に出掛けてみた。斜里町民は公園なんか行くよりも、北見のイナカモンみたいな名前の、粗悪品ばかりしか売っていないショッピングモールにでも行っているのだろう。だから誰も歩いていない。
そんな事から、これ幸いと人気の無い公園をノーリードで、カーシャを好きに走らせ回らせるのだ。
先々週は黄色い葉っぱばかりだったシャリウッド・ヒルは、2週間経つと赤く紅葉した葉が入り交じり、とても色合いがかわいらしくなっていた。桜の木などは、もう大半の葉を落としてしまっている。知床の紅葉の時期はあっという間だなと思う。
敷き詰めたような枯れ葉に覆われる歩道をカーシャが疾駆する。サクサク、カシャカシャ、葉を踏みしめる音を後ろにおいてけぼりに、カーシャはどんどんと進む。
カーシャがダッシュすれば落ち葉が舞い上がる。静かな公園の中を、犬が疾駆する音だけが響き渡る。
キリギリスが最後の鳴き声を聞かせてくれた
意外だったのは、日光が良くさす博物館裏のハマナススロープと呼ばれている斜面だ。ここはかつて墓地だったと云う記事をオレは以前に書いた場所だ。日が照りつけ暖かかったせいか、10月の後半だと云うのにキリギリスがまだ鳴いていた。
ギィ〜〜〜〜〜ス、ギィ〜〜〜〜〜ス。そちこちで弱々しく、間延びしたキリギリスの鳴き声が聞こえる。自分が生きている証明を精いっぱい奏でる姿がとても愛おしく感じる。あと2週間もすれば、鳴くムシも絶えた沈黙の世界になるんだろうな。
こんな暖かな日中はひょっとするとこれが今年最後かも知れない。頬に当たる空気がこれからどんどんと冷たくなる。辛いなぁ、三叉神経痛もちには、これからの季節。よし! これからはやはり覆面をして歩こう。髪の毛も長いから、これじゃチェ・ゲバラだ。
ここまで読んで頂きありがとうございました。記事をシェアしていただけたら有難いです。 東倉カララ