2020年 知床流氷通信 その5(たぶん) (2月17日)

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流氷観察

毎週のように流氷についての更新をしているので、いっその事シリーズにしてしまった。といって、その6があるのか、どうかは分からない。

町民公園のトリムコースの丘

この日曜日もやはり犬の散歩を兼ねて、流氷観察に出掛けた。ここの所シャリウッド・ヒルばかりだったので、それでは芸が無いと今回は観察場所を変えてみる。

今回犬のカーシャを連れて行って来たのは、町民公園内にあるトリムコース頂上の東屋だ。場所はというと、知床博物館の道路を挟んだ向かいに位置する丘の頂上と云う事になる。知床博物館入り口のちょっと手前にそのトリムコースの下り口がある。本来ならここは出口なのだが、このアスレチック遊具を使用する為じゃないので、我々は逆から登る事にした。

雪の斜面を駆け下る犬
斜面を駆け上がり、そして遅いオレを迎えに駆け降りるカーシャ

真冬なので誰も利用者が居ないかと思いきや、たぶん子供達が冬の遊び場としてここを利用しているのだろう。結構踏み固められた雪道が各遊具をつないでいる。

トリムコースと云われても何の事だと云う方にちょっと説明。知床博物館の道路を挟んで向かい側の地区には、陸上競技場、野球場、テニス場など整備されている。町民運動公園と云う訳だ。その入り口にトリムコースが設置されている。その辺りはちょっとした丘になっており、その登り口から頂上まで木製の遊具が連続した施設になっている。

綱で出来た階段を上る見晴らし台や、ロープを滑車で滑り降りる遊具、綱でぶら下げられた丸太を伝い歩く遊具等などが設けられている。オレが子どものころはたしかアスレチック・ランドと云っていたような氣がする。その当時(40年前)に比べると、ずいぶんと遊具が増えていた。

感傷に浸る暇も無く 手がかじかむ

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斜里町民公園東屋
頂上の東屋に到着。東屋の向こうに流氷原が広がって見える。

そんな遊具脇の獣道のような雪道を5分ほど登れば、頂上の東屋に到着する。東屋から北を見下ろせば、すぐそばに斜里自動車学校の練習コースが広がっている。教習コース右手の雪に埋もれた四角い場所は、オートバイの教習コースだ。そのオートバイのコースはかって、春から夏にだけ出現する湿地だった。オレが以前このブログでも、その湿地で謎の骨を拾って、骨折り損になった話しを書いた場所だ。

流氷原
正面に自動車学校の教習コースが見える。奥の白い氷原は流氷で覆われたオホーツク海

シャリウッド・ヒルと違い、ここは目の前に林が無い。ここからは遮るものなくオホーツク海を見渡せる。オホーツク海は完全に流氷に覆われて、海岸から水平線まで白銀の世界だ。きっと北極海もこんな風景なのだろう。海が流氷に覆い尽くされているので、波は全く消滅してしまっている。なので、潮騒の響きが消滅してしまっているのだ。

遠くでアカゲラが木を突っついている。乾いたドラミングが森に響き渡る。カラスが何処か遠くで鳴いている声がよく聞こえる。何処かで遊んでいる子どもの歓声がこんなとこにまで響いている。どれもこれも、流氷が来て街が静寂に包まれているおかげだ。


今回の撮影場所

今日は残念ながら空は曇りぎみで、知床半島は全く見る事が出来ない。それにしても空気が痛い。流氷が来ると空気の質が変わり、寒いから痛いに変わる。遥か沖合から吹く風は、氷の上で磨かれて、より冷たくなって斜里の町に吹く。晴れていると云うのに、頬に当たる空気はとてつもなく冷たいのだ。

手袋をしっかりしていると云うのに、指がかじかむ。やはりこんなに寒い時は棒っこ手袋(ミトン)の方が暖かい。凍傷にかかりそうだ。冗談じゃなく。そしてやはりポンコツ哀Podは極く数枚写真を撮影しただけで、電池切れになってしまう。フル充電して出掛けたと云うのに。

流氷原
左手に見える天体観測ドームは、知床博物館

この東屋からオホーツク海を見下ろしていると、40年前の子どものころの自分を思い出す。高校時代ひんぱんに、夜に伸ちゃんやトミオとここに来ては、ビールを飲んだりタバコを吸ったりしたもんだ。あの当時のオレ達は、いったい何を話していたんだろう?

それ以外にも、通学汽車に乗り遅れたオレは、面倒くさくなって学校をサボり、この東屋で時間を潰した事を思い出す。35年前もこの東屋からオホーツク海を眺めていた(もちろん夏の話し)。あの頃のオレは目標を見失っていたんだよな。できる事なら、今のオレが高校生のオレにアドバイスしてあげられたらと思う。

そんな感傷に浸る間もなく、カーシャと再び丘を下りる。カーシャも片足を上げて、時々立ち止まる。犬だって足がしゃっこいのだ。流氷が来ていると、とてつもなく寒い。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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