知床では台所の窓から天然記念物オオワシ観察 2021年1月の出来事
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スズメ同様街で普通に見られるオオワシ
オオワシやオジロワシと言えば、国の特別天然記念物で、レッドデータブックにも登録されている絶滅危惧種の鳥だ。オオワシは全世界にたった5200羽しかいないと推定されている。
リンク:ウィキペディアのオオワシの項
リンク:ウィキペディアのオジロワシの項
そんな希少なオオワシやオジロワシだが、実は冬場の斜里町市街地ではごく普通にみられる鳥なのだ。オレが犬と散歩に出掛けると、ご近所の電信柱にオジロワシが止まっている。いつも同じ場所に普通に止まっている。
こう毎日顔を合せると「やあ、今日の調子はどうだい?」と挨拶してしまう。どうやら近所に流れている排水路を縄張りにしているようだ。
秋の終りから、排水路には間違って遡上してしまった鮭がいるのだ。そんな鮭は上流には行けず、残念ながらこんなところで弱り死んでしまう。どうやらそれを狙ってオオワシやオジロワシが居着いてしまったようだ。
遠目にはトンビが電信柱に止まっているようにしか見えない。だが近づいて見るとその大きさ、威圧感、重量感に驚く。おお、こんなところにこんな巨大な鳥が止まっているとは! オオワシやオジロワシは日本で最大級の鳥だから、こんな市街地で目の前にすると恐怖感を感じる。電信柱の上から、鋭いツメ、鋭いくちばし、そして鋭い眼差しで人間を冷たく見下ろす。
幸いな事にオオワシやオジロワシは人間を襲わない。それどころかかなり臆病でもある。オオワシが電信柱に止まっているものだから近づいて見る。すると冷たい目でオレを見下ろしながら、「ちっ」と舌打ちでもしたように飛び去ってしまう。
まあ死体ならついばまれるかも知れないが、そんな事で生きている人間を襲う事は無いのでご心配なく。
台所の窓から天然記念物オオワシを観察
今日の朝、オレが出勤の準備をしていると、女房が変な叫びをあげていた。台所に行くと、「あれ、あれ!」と台所の窓の外を指さす。「みかんを咥えた大きなカラスかと思ったら、オオワシだった!」
窓の外を見ると、真っ正面に見える電信柱のてっぺんに巨大なオオワシが止まっている。ゆっくりした動作で、あたりを睥睨している。冬の色彩の乏しい景色の中、その黄色いくちばしが目に鮮やかに映る。女房にはそのくちばしが、みかんを咥えたように見えたらしい。女房らしい面白い表現だった。
オオワシの傍らには、このあたりを縄張りとするカラス達が集まってきている。嫌がらせのように肩を突っついたりしているが、オオワシは全く動じない。ただ黙って、首をゆっくりと左右に回し辺りを見回すだけだ。隣にカラスがいるとその大きさの違いがよくわかる。きっとあのカラスはうちのカラスだろう。
動きも少なく寡黙に止まるオオワシ。そしてその周りを取り巻くように、カラスが何羽も電線に止まっている。昔オレの通う大学でよく見た、演説している極左グループを監視している公安警察を思い出させる光景だった。
うちのカラスも少し困っているように見える。というのも縄張りにこんなのが突然現われても、力の差があり過ぎて強制排除出来ない。といって黙っていれば居着かれてしまったらどうしよう? と、ちょっと途方に暮れた様子だ。
我が家は斜里町の中心商店街から徒歩10分ほどの普通の住宅地にある。そんな場所の台所の窓から、オオワシが普通に見られる。いくら知床の街とはいえ、こんなことはそう滅多にない事だ。
斜里の人口が少なくなったせいか? 食料不足のためにこんなところまで出没するようになったのか? はたまた、川の上流(遡上した鮭が死んでいるので良いえさ場になる)よりも、市街地の方が楽に食料にありつけるのか? その理由は分からないけれども、近年野生動物がどんどんと人間の住む場所に近づいている感がある。
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