スケートリンクの作り方 2025年冬のアルバイト体験
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まずは雪を踏み固めてスケートリンクの土台作
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斜里町は昔からアイススケートの盛んな町で、私も小学生の頃から散々滑らされた。正直なところアイススケート=苦痛しか思い浮かぶ言葉がないが、今でもスイスイと滑ることが出来る(たぶん)。
スケートを滑るにはスケートリンクが必要だ。そんなスケートリンクは黙っていても出来上がるわけじゃない。昨年12月半ばから私はスケートリンクのアルバイトに携わって、リンク作りも経験した。ということで屋外のスケートリンクはどうやって作るのかを記事にしてみようと思う。
斜里の町営スケートリンクは、中学校のグラウンドを利用して作られる。まずスケートリンク作りの土台は雪を踏み固めることから始まる。なのでグラウンドに沢山雪が降り積もらないと作業にならない。
この冬の場合は12月の半ばから幸いにも多くの雪が降ってくれたので、早めに作業を開始することが出来た。作業員は全部で3人。私以外はもうこの作業を何年もやっているベテランばかり。大型車や大特の免許を持っていて、そういう車両の扱いになれた人ばかり。
最初はタイヤショベルでグラウンドをひたすらぐるぐると廻って雪を踏み固める。私も何時間もタイヤショベルにのって雪を踏み固めた。私は大特の免許を持っていないが、公道じゃないので操作を教えてもらってグラウンドをぐるぐると廻る程度は操作できるようになった。
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タイヤショベルの次はランドクルーザーで更に仕上げとして踏み固める。毎回2〜3時間ひたすらグラウンドを2速程度の低速でひたすら廻るだけの単調な作業だ。この作業を怠るとしっかりと雪を踏み固められた、スケートリンクの土台を作ることが出来ない。とても大事な作業だ。
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大型散水車で水撒き開始
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そうして5〜10センチほどの厚さのしっかりと踏み固められた雪のベースが出来上がった。この冬の場合12月25日頃。そしてその雪のベースの上に散水車で水を撒き始める。
それまでの作業は日中だったが、ここからは夜の作業になる。18時に事務所に集合。大型タンクローリーの散水車で散水開始。気温はマイナス10度以下。
気温が高ければ(マイナス5度以上)一度水を撒いてお終いになる、もしくは1時間ほど水が凍るのを待って再度水を撒く。そんな事を朝の2時位まで繰り返す。私も一度タンクローリーを運転させてもらい水を撒いた。大型車の運転は始めて、水まきも初めてで、リンク上を撒き残し無くきれいに撒くことが出来なかった。中々操縦テクニックがいる作業だ。
そうやって12月30日まで毎夜何度も水を撒いて氷を厚くしていった。1月は3日から製氷作業再開。その頃は夜の気温はマイナス10度から15度まで気温が下がる。なので散水に最適な時期になる。
氷の厚みも10センチは超えただろう。ここから一気にリンク完成に向けて水撒きを励む。だいたい19時ぐらいから水を撒き始めて、翌朝の2時から4時まで4〜6度水を撒き続ける。
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スケートリンク完成
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ほぼ完成したのは1月6日。その頃にはリンクのカンナがけという作業も加わる。ただ水を撒いただけではリンク表面がガタガタだ。なので巨大な100kg以上の重しを付けた鉄の刃をランクルで引っ張って表面を削る作業をする。そうしてでこぼこがなくなった状態にしてから、更に数度水を撒いてスケートリンクの完成。街灯に照り映えたスケートリンクが銀色に輝いている。
他にもいろいろと細かい作業があるのだが、こんな感じで屋外のスケートリンクはつくられる。自然が相手の仕事なので、気温や降雪などいろいろ障害も多い。思うように作業は進まないし、一度完成させてもやり直しになることもある。
この冬の場合は6日未明に一度リンクは完成したものの、その日の早朝から気温は急上昇。日中はプラスの7度にもなり雨も降る始末。そして夜には雪が降った。そんな事で翌日7日はまたカンナがけからやり直し。そんな事で正式の町営スケートリンクのオープンは1月9日になってしまった。
私はロクに重機も大型車も操作できないので、ベテランの作業員2人が中心になって製氷作業した。それでも連日深夜、いや早朝までいろいろと作業を手伝ったので、完成したスケートリンクを子どもから大人まで滑っている姿を見ると嬉しくなる。
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スケートリンクが完成した今は、利用者が安全に滑られるよう見守り業務とスケートリンクのメンテナンスを行っている。私にとってはアイススケートは苦痛以外の何ものでもないのだが、みんながアイススケートを楽しんでもらえたらと思う。