鶴は千年、亀は万年筆 我が愛用の3本の万年筆

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万年筆

今日は万年筆へのオレの愛を語ります。

オレは文学少年だったんでと言っても間違いじゃないだろう(SF少年でもあったが)。オレが子供のころ、作家先生というものは、殆どが万年筆で作品を執筆していた。作家=万年筆だ。そんな単純な理由で万年筆が欲しくてしょうがなくなり、中学入学の年にようやっと1本手に入れる事が出来た。それはParker45と言う量産型の万年筆で、オヤジの会社の社長のお下がりだった。

Parker45

オレのParker 45は軽量で細身、深緑のボディーに、ちょこんと先だけ出たペン先が特徴の万年筆。この万年筆は今でも現役で使っている。万年筆は使わないと、すぐにインクが乾いて書けなくなる。といって死蔵にしておくともったいないので、今では会社のデスクの上に置いておいて、メモなどを書く時などに使用している。

パーカー45

Parker Arrow

その後大学入学時に親にお祝いで買ってもらったのが、Parker Arrowの80年代前半モデル。これまた細身で、ペン先がParker45の流れをくむ小さなペン先。黒のボディーに、金のパーツ。ペン先は22Kかな。ちょっと高級感があるけれども、当時1万円だったと思う。大学時代はこれだけを使っていた。軸の質感がオレの手にしっくりと合ってしまって、もうオレの指の延長のようなペンになってしまった。

ただ、一つ不満が、ちょっと太字だと言う事。それと何かゴミのようなものをペン先に挟んでしまったようで、それ以降微妙に書いている時にペン先が紙に引っかかる感じがする。それがちょっと使っていて気になる所だった。

万年筆は机に死蔵

それから月日が流れて、パソコンの時代になり、万年筆なんか全く使わない日々が続いた。時たま取り出してインクを入れて、ちょっとしたメモ書きなんかに使ったりしていた。そんな程度の使用だと、すぐにインクが乾いて書けなくなってしまう。その度に掃除。そのうち面倒になって再び又机の引き出しの中に安置、なんてことを繰り返していた。

で10年ぐらい前に、又Parker Arrowを机の引き出しの奥から引っ張り出してきて、あれこれ書いていたりしていた。やっぱり太字が気になって仕方がない。もっと細字にならないものだろうか?

そこで、会社に出入りしている札幌の紙問屋(札幌で一等地で文房具店もやっている有名どころ)の営業マンに、細字のペン先に交換ができないか託してみた。すると、このペンはもう部品が無いので交換はできないと言う。ただ、ペン先調整なら出来るよ、という回答。より書き良くなる事を期待して、調整をお願いしてみた。お代は5000円。

さてペン先調整から帰ってきた我がParker Arrow。さっそくインクを入れて使ってみたけれども、正直な所何も変わっていないように思える。調整と言っても劇的に良くなるなんて思っていなかったから、まあ、こんなもんなんだな、一寸は書きやすくなっているに違いないと使っていた。

ペン先調整が失敗だった

大学時代みたいに頻繁に使っていないのですぐには気がつかなかったが、それから数ヶ月後だろうか、書いていると異常にインクが漏れる事にやっと気がついた。手がすぐにインクで汚れるのだ。ペン先と首軸の間からインクがにじみ出ている。ペン先全体がいつもインクで黒ずむくらいだ。

そして一番の問題は、書いているとペン先がぐらつくのだ。最初はペン先がしなやかになったのかなと勘違いしていた。清掃の際にペン先を思い切って引っ張ってみると、なんといとも簡単に抜けるではないか。ペン先が首軸にしっかりと固定されていない。ただ刺さっているだけ。

も一度抜けたペン先をしっかりと、首軸に押し込んで使ってみると、一寸の間は元に戻ったように思えたのだが、しばらくするとインクがじっとりとにじみ出てくる。ペン先はぐらぐら。ペン調整に出して、何か大事な所を壊されてしまったようだ。

そんな事も有り、Parker Arrowは使えなくなってしまった。ペン先調整に出してすぐにだったらクレームをつける所だが、時間も経ってしまったのでそのまま放ったらかしにしていた。嗚呼、良くしようとして、かえってダメにしてしまった。

復活のParker Arrow

時間が経てば人はすぐ都合の悪い事は忘れてしまうもんだ。そんな使えなくなったParker Arrow、性懲りもなく、上手く使えばインクが漏れないんじゃないかな、自分で修理できるんじゃないかなと、諦め悪くまた使い始めてみた。

というのも、今使っている万年筆はCaran d’AcheのRetroと言う奴なんだけど、これが重い。書き味はとてもすばらしく良いのだが、ステンレスのボディーは剛直、まるでライトセーバみたいだ。書きやすいのだが、この重みがどうも手にしっくりと来ないのだ。

ペンキャップを軸に差すと、ペンの重心が上になり過ぎてペンに手が振り回される感じだ。しかも、2万円以上もするペンなのに、ペン先がスチール。やはり万年筆のペン先は金でなくっちゃ(日本人には万年筆のペン先は金じゃなきゃ信仰があるらしい。オレもそうだ)。

そんなわけで再びParker Arrowの再登場だったんだけど、やはりインク漏れが起きて使えない。ペン先はぐらぐらで非常に書き難い。でも軽くて、軽快で、手にしっくりくるのだ。やっぱりこのペンが最高だなぁ。こうなりゃ、同じペンのデッドストック、中古品でも探そうと決めた。

ネットで探すとeBayなら同じものから色違いまで、デッドストックから中古品まで種類多くでていた。そんな商品を丹念に見ていると、パーツで売っている人がいる。ペン先だけ、首軸だけ、キャップだけ。そうだ、オレが必要なのはペン先と首軸が一緒になったもの。それだけ交換すれば、あとは必要がない。

そうやって見て行くと、新品が見つかった。なんとたった3000円。しかも送料込み。それで元通りになる。即座に買いましたよ。

ギリシャからParker Arrowのペン先が届く

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1週間ほどして、読めないギリシャ文字の切手が貼ってある国際郵便が届いた。税関で中身チェックの為に開封した跡があった。てっきりアメリカの業者と思っていたのだが、なんと発送先はギリシャだった。

早速取り換えてみる。新品なんで、てもとのボディーに組み込む時にちょっと抵抗があったが、首軸を軸に回し込んでみるとぴったりと収まる。当たり前か。キャップを嵌めると一寸キツイのも、新品のようできっちりとしていていい感じだ。なんだか新品のようだ。

そんなわけで、30年愛用の万年筆が無事新品同様になって生き返った。ペン先の色を比べると、長年使用してきた古い方は何だか赤っぽく色あせている。

新旧のペン先を比べれば不具合があきらかになる。旧ペン先は首軸からでている部分が短い。オレがこのペンの修理を諦めて、交換する事を考えたのはこのことに気がついてから。ペン先にParkerと刻印してあるのだが、それが首軸のフードに隠れて見えないのだ。

そんな見えない所に刻印するなんておかしいと思い、ネットでこのペンの画像を調べてみるとやはりはっきりと刻印が見えている。何かの部品が、たぶんペン先と首軸を固定する部品が紛失してしまい、そのためペン先がより深く首軸に入り込んでしまったんだろう。

Parker Arrow
上が復活したParker Arrowのペン先。下が壊されたペン先。首軸からでているペン先部分が短い。
Parker 45、Parker Arrow、Caran d'AcheのRetro
我が愛用の万年筆達。上からParker 45、Parker Arrow、Caran d’AcheのRetro

万年筆だけに泉のようにインクが湧き出るようになってしまったオレの愛用万年筆だが、こうして新品同様になって生まれ変わった。もう一生モノだな。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

私の記事をソーシャルメディア等でシェアしていただければありがたいです。 東倉カララ

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