犬は人に見えないモノを見る能力がある 深夜2時、確かに何かがやって来た
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犬、深夜に部屋の中に居る「何か」を見る
犬は人間には見えないものが見える、もしくは感じる事が出来る。これは間違いの無い事だ。これまでのオレの経験からそう断言できる。ただ、それが幽霊や霊魂なのかどうかは判らない。だが間違いなく犬は、人間じゃ認識できない「もの」を見る事が出来る能力がある。
これはもう15年ほど前の話で、当時オレは街から離れて農村地帯の一軒家で一人と１匹暮らしをしていた。ラブラドール犬のカララがオレの生活のお供だった。
その日はいつもの様に寝る前に読書をしていた。一人暮らしだから誰も咎めるものが居ないので、就寝はつい夜更けになってしまう。その日も朝の2時頃までベットで本を読んでいた。そういう時にカララは何処に居るかというと、決まってベッドの上のオレの足下で丸くなって寝ているのが常だった。
深夜2時。もうそろそろ寝ようと思っていると、カララが目を覚まし首をもたげる。そして誰も居ないはずの居間をじーっと見つめている。執拗に、じーっと。家の中はもちろんオレと犬のカララだけしかいない。気味が悪いので「カララ止めな。寝なさい」と言っても、誰もいないはずの居間をじーっと見続ける。カララの様子はまるで誰かがそこにいるかのようだ。電気の消えた居間、寝室の灯で薪ストーブがおぼろげに見えるだけだ。
するとカララは不審そうな顔で、居間に向かって低くうなりはじめた。カララも何か惑っているような、そんな唸り方だ。低く、小さな声で唸り続ける。もしそこに何かが居れば、カララはすぐにでもベッドからそこにかけつけるのがいつもの行動だ、ところが、カララは「それはいったいなんなんだ？」という感じで、不可思議なものを見て、戸惑っているように唸っているのだ。
これまでそんなカララを見た事が無い。オレも何だか背筋にぞぞっと寒気を感じながら、いぬと一緒に居間を見続ける。もちろんオレには何も見えない。部屋の中は静まり返っているままだ。一番近いお隣さんでも300mも離れた所だ、外からも何も物音が聞こえてこない。自分も怖いものだから、「カララ、何もいないよ。もう寝なさい」とカララに話しかける。それは犬に言うと言うよりも、自分が怖くならないように言ったようなものだ。
カララはそのまま居間を見つめて2度ほど唸った後、何事も無かったかのように頭を伏せて、またベッドの上で丸くなった。だが、目は依然として居間を見つめていた。ちょっと気味が悪くなったオレは、もう本を読む氣が失せた。少しビビりながらも、居間に何もいない事を確認してから布団を頭まで被ってオレは寝た。
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早朝に母からの留守番電話が残されていた
その日の朝何時も通りに起き会社に出勤する。会社でふと携帯電話を見た時に、朝の6時に着信が有った事に気がついた。携帯の着信音じゃ、目が覚めなかったのだ。留守電が入っている。メッセージはただ一言「あのね、今朝ね、婆ちゃんが亡くなったよ」。
オレの祖母は施設に入所していたが、先月から衰弱が進み病院に入院していたのだ。母の言葉を聞いた瞬間脳裏に、深夜の不思議な出来事を思い出した。また背筋に寒いものが走る。あとで母に祖母の亡くなった時間を確認した。母親は「2時8分だよ」と言った。
深夜の訪問者再び
この事だけなら、たまたま偶然そんな事が起きたという人もいるだろう。
更にその数年後、やはり夜更けにカララが同じ行動をした。居間の暗闇に向かって、けげんな顔で小さな声で唸るカララ。やはりオレはその時も、ブルルと背中に寒気が走って、頭まで布団を被って寝た。「ひょっとしたら誰か亡くなったかも」と思いながら。
その早朝、ご近所さんからの電話で起こされる。「Yさんの奥さんが亡くなったよ」と。
Yさんとはオレの住む借家の大家さんの事だ。
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