犬のカララと3度折られたりんごの木の死闘 ついに決着がつく
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結婚記念に植樹したりんごの木
新婚当時、結婚の記念にと庭にリンゴの木を植えた。その家は借家だったが、生涯住むつもりでいたのだ。ホームセンターで売っていた50cm程の小さな苗木だったけれども、その年の秋にはあっという間に1.5m程の高さにまで成長した。
そしてその冬の出来事。除雪作業中はリードなしで犬のカララを好きに遊ばせている。その当時の家は斜里岳山麓の壁地にあり、車通りが少ないのと、何といっても車道から30m程奥に入った所にある家だ。それにカララは離していても、オレの周りから遠くへ離れる事がないので心配がないのだ。
ところが気がつくと、カララの気配がしない。妙に静かだ。探して見たら、なんとりんごの幹をみごと真ん中からボッキリ齧り折って遊んでいた。せっかくここまで大きく育てたというのに。オレに見つかるとカララは、切り離された1m程の幹を振り回して、楽しそうに駆け回りだした。戦果をオレにオレに誇るように。
ラブラドール犬にとって、その幹の太さは噛むのにちょうど最適の太さだったようだ。オレが除雪に夢中になっている間、カーシャは桜の幹を齧ることに夢中になっていたのだ。ガジガジと木を噛む、いまでもその時の嬉しそうな目が忘れられない。私が気がついた時にはもう手遅れ、雪上には折れた幹が、ギザギザの先端を惨めに曝していた。
翌春りんごの木は再び新しい芽を出すが、
翌春、カララに折られた木は、根元から新しい芽を出して生き返った。が、その年の冬に再び真ん中からボキッと、カララに齧り折られてしまった。
2度もカララにやられたけれども、そのりんごの木はめげずに翌春、再び芽を出し不屈の闘志で成長していった。植えてから3年にもなるのに、カララのせいで背丈は1mにもならない小さなりんごの木だ。
そしてその次の夏にオレ達夫婦はその家を離れる事になった。親の都合で、街に家を借りて暮らすことになったのだ。結婚記念のりんごの木を、そこに残して。
それから2年後カララは発作を起して12歳で急死してしまった。その時は中古で買った家への、引っ越しの準備中の出来事だった。結局その新居に一番乗りしたのは、カララになってしまった。まだ誰も住んでいない新居の庭に、カララを埋葬した。何でも一番乗りのカララだ。
りんごの木を旧宅から新居に移植する
何が幸いするか判らないものだ。斜里岳山麓の旧宅に残しておいたりんごの木は、カララに2度も折られな事から大きく育つ事が出来なかった。ところがそのお陰で新居に移植することが出来たのだ。もしあのまま成長していたなら、大きく育ち過ぎて、とてもじゃないが連れて来ることは不可能だったろう。そのりんごの木は、庭のカララのお墓の隣に移植した。ライバル同士一緒に並ぶ事になった。
それから4年経った。今年そのりんごの木は春になっても、何故か一つも新芽が芽吹かなかった。りんごの木は完全に枯死してしまった。しょうがないので7月に切り倒した。背丈は3mにも達していた。去年は花まで付けたというのに。
きっとまたカララが、地下でりんごの木を齧ってとどめを刺したに違いない。今度という今度はカララの完勝だ。不死身のりんごの木もついにカララに敗れ去った。
カララはとにかく何でも壊すのが好きな犬だった。オレのメガネも壊されたし、玄関の板張りの床に穴を掘られた。家の中あちこち何でも齧った。カララの破壊は、それこそ数限りがなかった。
死んでからも、ラベンダーを枯らす、天使ちゃんを壊す、リンゴの木を枯らす。みんなカララの仕業だ。
でも一番の破壊は、虹の橋を壊した事。去年の暮れ、あやうくカーシャが渡りそうになった虹の橋、その上り口をカララは見事破壊してくれた。そのおかげで、カーシャは虹の橋を上り損ねて、今も元気でいられる。何でも破壊したカララだったけど、カーシャが助かったのはカララのおかげだ。
アイキャッチの写真は、2年前に初めてリンゴの花を咲かせた時のもの。
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