2020年 知床流氷通信 その9 流氷に降る雨(3月10日)

知床の海岸を埋め尽くす流氷 2020年

3月9日 斜里の最高気温はプラス10度を超える

昨日(3月9日)北海道上空は5月並の暖気に覆われた為、各地で今年の最高気温を記録した。ここ斜里町も例外では無く、日中は10度を越す陽気になった。先週末の吹雪きで積もった雪は、この陽気で溶け始め、道路はもうグチャグチャだ。キレイに除雪が入っていない道路では、雪に車のタイヤが取られて思うように走られない。

ぐちゃぐちゃの雪道
なまらぬかるむ酷い道路。犬の散歩もお休みです

そして本日(3月10日)は昼から雨が降り出した。暖気、そして微風ではあったが南風が吹いていた斜里の町。果たして流氷はどうなったのだろう? 沖合に流れ去り、水平線が白く輝くだけになっているのだろうか? と氣になった。

そんな事で昼休みに、斜里の海岸に観察に行って見た。午前中に網走に行った女房の話だと、網走周辺の海岸は流氷が離岸して、青黒い海が見えていると云う。斜里の海岸はどうなんだ?

流氷原に降る冬の終わりの雨

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今回の撮影場所

場所は斜里市街の外れにあるオホーツク霊園のすぐ東の海岸。海岸沿いの道路に車を止め、1m程の積雪の海岸段丘を越えて浜に出る。出ると云っても、雪はこの暖気でぬかるみ、あちこちズボズボと足が雪の下に抜けてしまう。

長靴の中はもう雪まみれだ。靴下が濡れても、もうどうでも良い。雨の日に遊ぶ小学生の頃の氣持ちを思い出した。

知床の海岸を埋め尽くす流氷 2020年
灰色の空 灰色の流氷原

段丘から見下ろすオホーツク海は白い流氷原が遥か沖合まで広がっている。数日前に見た光景と何も変わらない。やはり流氷の勢力が強かった為、あの程度の南風では、氷を沖合に押し返す力は無かったようだ。

知床の海岸を埋め尽くす流氷 2020年
知床連山方面は雲って何も見えず

天気は雨。波の音の無い静かな海岸に、雨粒が落ちる音だけがそーっと響く。前日の高温のせいで、浜に積もった雪や流氷はその表面の融解が進み、とてもなだらかになっている。砂浜に近い氷は、砂にまみれて煤けたように汚れていた。

知床の海岸を埋め尽くす流氷 2020年
泥がついた雪に見える物体は、打ち上げられた流氷 砂にまみれこれからどんどん溶けてゆく

無音の流氷原にしとしとと雨が降りしきる。流氷に降る雨を見るのは初めての経験だ。気温はプラス、そして雨。流氷がどんどん溶けてしまいそうに思えるが、流氷ってのは海の表面が薄く凍ったものでは無い。厚いところでは数メートルになる厚みの氷が流れてきたものなのだ。こんな程度の雨じゃ、すぐに溶け去ってしまうと云う事は無い。

だけども今夜から天気は更に荒れ、南風の強風が吹くという予報が出ていた。明日こそは、濃緑青色の晩冬のオホーツク海が再び現われている事だろうと思う。

2020年 知床流氷通信一覧 
流氷の無い知床 2020の冬(2月4日) 
2020年、流氷来たる知床 2月10日流氷接岸
冬のお散歩は遠くに流氷を望むため(2月12日)
知床は流氷シーズン到来(2月12日)
知床流氷通信5(2月17日)
知床流氷通信6 濃青緑の海 流氷は沖合に(2月23日)
知床流氷通信7 再び流氷接岸!(2月29日)
知床流氷通信8 斜里港から(3月8日)
知床流氷通信9 流氷に降る雨(3月10日)
知床流氷通信10 低気圧襲来で流氷はこうなった(3月11日)
2020年 知床流氷通信11 網走市郊外・北浜駅(3月14日)
2020年 知床流氷通信12 以久科原生花園(3月16日)
2020年 知床流氷通信13 流氷の海に転落? 以久科原生花園海岸(3月18日)
2020年 知床流氷通信14 知床方面の海岸は流氷がまだ接岸中(3月21日)
2020年 知床流氷通信15 静寂の海再び 春の流氷の海(3月25日)
2020年 知床流氷通信16 斜里川西岸 海岸は知床彫刻の海美術館(3月29日)



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