2020年 知床流氷通信13 流氷の海に転落! 以久科原生花園海岸(3月18日)
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忙しいはずなのに、度々更新しているこのシリーズも13回目
気まぐれでシリーズにしてしまったこの流氷通信も13回目になってしまった。今日も仕事で出掛けたついでに、斜里の海岸に出向いてみた。場所は前回と一緒の以久科原生花園海岸。3月は仕事が忙しい時期なのに、雑記ブログだけはこまめに更新し続けている。
今回は海岸側の駐車場に着いた時から雰囲気が違っていた。そう、静寂じゃないのだ。波の音が聞こえているのだ。こりゃあ氷はすっかり沖合に去ってしまったなと、この時思った。
だが海岸段丘を越えて浜を見下ろすと、そこには前回とそう変わらない光景が広がっていた。氷は浜から500m程沖に後退している。だがその先は水平線まで白く輝く氷原が広がっている。前回と大きく違うのは、海が広く開いた為に、波が起きている事だ。流氷と海岸に挟まれた狭い海洋を波が走っては、海岸に打ち付けている。その為海のざわめきが戻っているのだ。前回はまるで水の鏡があるかのように、波紋一つ立たない水面だったと云うのに。小さな波が次々と起きては、浜に打ち付ける。その度に海岸に流れ着いた流氷は、ぐらぐらと揺さぶられるのだ。
この数日、風が吹いていたのと、波が復活した相乗効果なのだろう。開いた海面上に突き出た流氷のオブジェが、前回よりも大幅に増えている。しかも氷の上に氷が重なり、海面上にちょっとした小山が出来ている。これは冬の終わり、春の始まり西か見られない「知床天然ミュージアム」だ。
流氷の海に転落
さて、そんな氷の積み重なった小山を前面に、白く輝く知床連山の姿を納めようと、オレは波打ち際の氷の上を歩いていた。より良い構図を撮ろうと、より波に近い氷の上に足を乗せた瞬間、オレの体はそのまま海面に斜めにくずおれた。氷と思って足を踏み込んだ場所は、波で砕かれた流氷の小さな氷が、ただ表面を覆っただけの海水面だったのだ。
オレの右足は冷たいオホーツクの流氷の海にザブーンと遠慮なく突っ込む。右手に持ったiPodも水面下に。もちろん浜辺なので、水深はせいぜい30cm程の浅瀬だ。濡れたのも右足だけだ。だけども、流氷の海の冷たい事。一瞬にして足が凍りついてしまうような鋭い痛みを感じる。流氷の海は冷たい。こりゃあ確かに全身が浸かってしまえば、5分で死んでしまうと云う話も嘘じゃない。森繁久弥の氣持ちがこの時よく理解出来たよ。
くれぐれも流氷観察、写真撮影の際には、氷の上にうかつに乗ってはいけない。
水の入った長靴、冷たい水で満たされた長靴のまま、ガポッ、ガボッと靴が音を立てながら、オレは車まで急ぐのであった。ガポッ、ガボッ。濡れた長靴のまま砂浜を歩く、半身が濡れた切ない50男。
そういや子どもの頃、春先に家の周りに出来た雪解け水の湿地でよく遊んでいた。氣をつけてはいるが、それでも深みにはまって毎回長靴に水を入れてしまうのだ。長靴に入った水はそのままにしておけば、体温で温められてだんだんと冷たくなくなるのだ。ガポッ、ガボッ。
哀Podの最後
それはさておき、水没してしまった哀Podなんだが、本体は生きているのだが、液晶画面が表示出来なくなってしまった。これがオレの哀Podが撮影した最後の画像だ。取り込みだけは出来た。
電池がすぐ切れる! こんなの哀Podだ! と文句ばかり言っていたから、こんな目に遭うんだろう。
2020年 知床流氷通信一覧
・流氷の無い知床 2020の冬(2月4日)
・2020年、流氷来たる知床 2月10日流氷接岸
・冬のお散歩は遠くに流氷を望むため(2月12日)
・知床は流氷シーズン到来(2月12日)
・知床流氷通信5(2月17日)
・知床流氷通信6 濃青緑の海 流氷は沖合に(2月23日)
・知床流氷通信7 再び流氷接岸!(2月29日)
・知床流氷通信8 斜里港から(3月8日)
・知床流氷通信9 流氷に降る雨(3月10日)
・知床流氷通信10 低気圧襲来で流氷はこうなった(3月11日)
・2020年 知床流氷通信11 網走市郊外・北浜駅(3月14日)
・2020年 知床流氷通信12 以久科原生花園(3月16日)
・2020年 知床流氷通信13 流氷の海に転落? 以久科原生花園海岸(3月18日)
・2020年 知床流氷通信14 知床方面の海岸は流氷がまだ接岸中(3月21日)
・2020年 知床流氷通信15 静寂の海再び 春の流氷の海(3月25日)
・2020年 知床流氷通信16 斜里川西岸 海岸は知床彫刻の海美術館(3月29日)
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